こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
・エネファームとは
・10年後までの総費用
・評判・口コミと感想
「エネファームは水素を利用した発電のため環境に良くて料金もお得。停電時に発電もしてくれるから災害時も役に立つ。」という説明を聞いて、新築戸建に設置したエネファーム。
本当に料金はお得なのだろうか?
と疑問に思ったので計算してみることにしました。
結果は『10年間では26万円損』ということでした。
光熱費の節約は大きいのですが、本体価格のイニシャル費の影響が大きいです。
細かな計算含めて紹介していきます。それでは、早速始めていきましょう。
Contents
エネファームは家庭用燃料電池
エネファームとは「我が家の小さな発電所」と言われます。
都市ガスを燃料に発電し、同時に発生する熱を利用してお湯も作ります。
その仕組みを詳しく確認してみましょう。
発電の仕組み
都市ガスから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて発電します。
燃料は同じガスでも火力発電とは異なり、CO2を排出しない発電です。
そのため、環境に優しいエコな発電として国から補助金が用意されるなど普及が推進されています。
設備の構成
エネファームは主に3つのユニットから構成されています。
・燃料電池ユニット
・貯湯ユニット
・バックアップ熱電源機
燃料電池ユニットは電気と熱を作ります。
貯湯ユニットはお湯を生成して140L貯めます。
バックアップ熱電源機は貯湯ユニットのお湯がなくなった時に瞬間的にお湯を沸かします。
10年の保証期間
東京ガスなど地域指定会社と都市ガス需給契約を締結している場合、10年間のメンテナンスサービスが無償で受けられます。
ただし、他のガス会社と契約した場合は無償サービスが受けられなくなるため、注意が必要です。
10年経過のエネファーム総費用
エネファームと一般的な給湯器の10年後を比較すると26万円エネファームは損という結果になります。
その詳細を確認していきましょう。
<エネファーム>
【総額】 152万円/10年
【内訳】
イニシャル費用 89万円
ガス代 63万円
発電電力 20650kW
<一般的な給湯器>
【総額】 126万円/10年
【内訳】
イニシャル費用 20万円
ガス代 52万円
電気代 54万円(20650kW相当)
エネファームのイニシャル費
エネファームのイニシャル費はとても高価です。
わが家は本体価格・設置工事が100万円で、11万円の補助金も含めても89万円でした。
一方の給湯器は、一般的に本体価格・設置工事を合わせて20万円前後が相場です。
つまり、設置段階で69万円もの差が発生します。
<エネファームのイニシャル費> 89万円
<給湯器のイニシャル費> 20万円
エネファームのガス代
エネファームを選択すると家庭用燃料電池契約となりガス単価が安くなるものの、エネルギー効率が悪いため、ガス使用量が多くなります。
そのため、10年でさらに11万円損します。
わが家(4人家族)の年間お湯使用量は136m3(136000L)であり、一日平均372L使用しています。それに対する年間ガス使用量は728m3です。
15℃の水を40℃のお湯に変換するために必要なガス代は、エネファームと給湯器それぞれ以下のように計算されます。
<エネファームの年間ガス代>
ガス使用量m3 × ガス単価
728 x 86.2 = 62,753円
<給湯器の年間ガス代>
水量L × 上昇温度℃ ÷(ガス燃焼量kcal × 給湯器熱効率%) × ガス単価 × 日数
372 x 25 ÷(10750 × 0.8)×130.46 × 365 = 51,493円
エネファームの電気代
エネファームはガス代が高くなりますが、発電するため、電気代を抑制することが可能です。
わが家の年間発電電力は2065kWであり、電気単価が26円/kW(第2段階)で計算すると10年間で54万円得することになります。
<エネファームの発電効果>
年間発電電力kW × 電気単価
2065 x 26 = 53,690円
点検と修理
10年の無償メンテナンスサービスが終了すると、点検と修理費用が必要になります。
今回の計算には含めていませんが、追加で以下の費用が発生する可能性があります。
10年後以降は継続点検に5万円/回、定期点検に10万円/回、機器故障修理に数千円〜数十万円がその都度必要になります。
安い額ではないので、壊れず使用できる状態が続いてくれることを期待したいですね。
2022年の補助金制度
一般社団法人 燃料電池普及促進協会(FCA)によって、燃料電池の利用拡大に向けてエネファームなどの導入支援として補助金制度が2009年度から実施されています。
しかし、2020年度で終了すると公式HPに記載あるため、2021年度以降は新規補助金制度が新設されることを期待したいですね。
エネファームの評判・口コミと感想
費用総額をまとめると10年間ではエネファームは26万円損という結果になりましたが、購入者の評判や口コミを調査してみました。
メリット・デメリット
評判の中でも多かったメリットを紹介します。
電気代は安くなって当然ですが、月々の固定費が抑制できるのは家計に優しくなるのでメリットと感じる方も多いようです。家族の節電意識が高まるのも良い効果ですね。
続いて、評判の中でも多かったデメリットを紹介します。
費用効果は大きくないどころか本ブログでも紹介したように10年で計算したら損してしまいます。総額費用で考えるのであればエネファームはリスクが大きい機器と考えるべきでしょう。
故障が多いと面倒ではありますが、10年保証があるので心配する必要はないと考えられます。ちなみに、わが家は4年利用して一度も故障や不具合はありません。
エネファームのお得境界線
10年では26万円損という結果でしたが、定期検査なしで故障せずに何年使用したら特になるのか計算してみました。
結果は16年です。
電気・ガス合わせた光熱費は給湯器に比べて4.3万円得しています。そのため、26万円を埋めるためには6年が必要になり、7年目から得するという結果となります。
10年保証なので故障せずに16年間持ってくれると良いですね。
エネファームを設置した感想
設置して良かったなと感じています。
10年間で得しない計算になったのは残念ですが、環境に優しい発電ですし、停電時に電気が利用できることで設置から4年のうちに2回ほど良かった思いをしました。
このまま故障せずに16年経過すれば、文句はないですね。
ただし、お湯の使用量が少ない家庭では発電量が減るため、さらに効果が下がることが想定されます。子どもがいない家庭や子どもが独立した家庭にはエネファームの設置は不要かと思います。
まとめ;エネファームは10年では損
エネファームは10年間では給湯器に比べて26万円損するという計算結果になりました。
ただ、10年後も点検なしで故障せずに16年使用できると給湯器と同じ費用となりますし、イニシャル費をわが家よりも抑制して設置できる条件が得られれば、得する可能性もゼロではありません。
また、停電時のバックアップ電源として安心を備えておけますし、CO2を排出しないエコな発電方法であることは忘れてはなりません。
私がもう一度検討する場合は再びエネファームを設置します。
続いて、エネファーム+太陽光発電のダブル発電の損得について説明します。
>> 【2021】ダブル発電は損?売電単価が下がるは過去の話