年金

国民年金保険料を追納しない方がよい理由【学生時代の猶予分】

本日は『国民年金保険料を追納しない方がよい理由』についてまとめていきます。

学生時代に「学生納付特例制度」を利用して、国民年金保険料を支払わず猶予の権利を得て、忘れた頃の30歳になると「10年以内であれば追納できます」と連絡がきます。

そして、追納すべきなのかどうかweb検索します。

「年金 追納 する しない」

そこで「支払ったほうが良い」というサイトを多く目にすることになるかと思いますが、私はそうは思いません。

その理由を記事にしていきます。

シミュレーション条件は大学院卒の4年間猶予であり、今後は支払予定の30歳とします。
猶予年数が2, 3年の場合、算出値は変わりますが基本的な考え方は変わりませんので、置き換えて考えてみてください。

また、税金についても考慮せずに計算します。

年金追納しない理由

  1. 追納金を一括で年率4%で35年間運用した場合、元をとるのに約38年(103歳以降)
  2. 追納金を420ヶ月分割して、年率4%で35年間積立てた場合、元をとるのに約20年(85歳以降)
  3. 追納しても国民年金の年間受給額が78万円から70万円になるだけ
  4. 30歳にとって一括追納金額が約76.8万円(4年分)と大きい
  5. 年金受給額が今後減るかもしれない

これら5点が追納しない理由です。

追納金を一括で年率4%で35年間運用した場合

一括で追納金76.8万円を支払う金銭的な余裕がある場合です。

国に任せず自分で年率4%のリターンで運用すれば、65歳で103歳までの受給差額分307万円を手にすることができます。

年率4%はS&P500などのインデックスファンドの過去の成績(過去20年間で5.8%)を参考にしても無理のない設定かと思います。

追納金を420ヶ月分割して、年率4%で35年間積立てた場合

一括で支払う金銭的な余裕はないけど、将来得になるなら無理してでも支払おうか考えているケースです。

一括で支払う76.8万円を420ヶ月(35年)で分割し、毎月1828円を積立投資に回して、年率4%で運用した場合、65歳で85歳までの受給差額分167万円を手にすることができます。

ただ、85歳以降については大丈夫か心配になりますね。

でも、大丈夫です。

年金は3階建て構成になっており、この話は1階部分の一部の話に過ぎないからです。

次の章で年金の全体像のうち、2万円がどの程度なのか把握できるようにします。

追納しても国民年金の年間受給額が78万円から70万円になるだけ

年金は3階建てと表現しましたが、

「国民年金+厚生年金+確定拠出年金」で構成されています。

このうち、追納の話は「国民年金」に関する話であり、

40年間フルで保険料を納付するともらえる約78万円/年が4年間の猶予に対して追納しないと約70万円/年になります。

※国民年金計算方法(2020.1時点) 78,0100円×(加入月数)÷480(40年間)

 

厚生年金は、

勤めてきた時の所得によって金額が変わるため、年収720万円で20年間勤めたケースで確認すると、72万円/年です。

参照元;厚生年金受給額の早見表とシミュレーション!

 

確定拠出年金は、

毎月の積立額によって異なりますが、毎月3万円の拠出を行う場合、35年後には約2,741万円となります。

一括で受け取る場合、分割で受け取る場合がありますが、100歳までの分割で受け取るケースで考えると、少なくとも毎月12万円となります。

すべての年金を合算すると年間で287万円となり、毎月23万円の受給となります。

国民年金   70万円
厚生年金   72万円
確定拠出年金 145万円

毎月23万円の年金を25万円にするために、30歳のタイミングで76.8万円を追納すべきかの視点で考えた方が良いですね。さらに結婚していれば配偶者分の年金も上乗せされます。

30歳にとって一括追納金額が約76.8万円(4年分)と大きい

子育て世代にとっての76万円は大きいですね。

老後を見据えるよりも、直近の生活を大切にした方が個人的には良いかなと思います。

年金受給額が今後減るかもしれない

今回のシミュレーションは2020年時点の内容で実施しています。

しかし、これから少子高齢化は加速していきますので、年金ルールが改定され、受給額が減額される可能性もあります。

それであれば、国に任せず、自助の精神で追納せずに運用するのが賢い選択なのかなと個人的には考えてます。

しかし、自助だけでは日本全体が困ってしまうので、日本で暮らす限りは決められたルールに則り、助け合いの精神をもって、国民年金保険料や厚生年金保険料は支払っていきたいですね。

まとめ

しっかりと保険料を納めていれば、追納せずに十分な年金を受け取ることが可能ですし、追納分を自身で運用することで、年金不足分を補うことも可能です。

そのため、学生時代の猶予に対する追納は不要だと考えています。