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元JAXA共同研究員が解説!採用されやすい出身大学は?

学生A
学生A
JAXAで仕事・研究がしたい!どうしたら良いか?
学生B
学生B
採用に有利な出身大学・大学院はあるのだろうか?

こんな疑問に応える記事を用意しました。

JAXAへの就職は倍率が高く容易ではありません。しかし、採用されるためのポイントは存在するように感じます。

私は大学4年から3年間、特別共同利用研究員としてJAXAに通っていました。

実際にJAXA職員と話をすると『採用された必然性』が伝わってきます。採用に至るまでのストーリーが各々存在することを感じるのです。

そのような現場で感じたことや得られた経験を記事にし、皆さんの『想い』を実現する手助けとなり、将来の宇宙開発の発展に貢献できたらと考えています。

また、別記事『こうして私はJAXAでの研究を実現!連携大学院制度の活用』でJAXAで研究するために利用した制度をまとめていますので、よかったらご覧ください。

JAXAの概要

『JAXAに採用されるポイント』について触れる前に、必ず理解しておくべき内容が3つあります。

1.経営理念・目指す人物像

2.事業と職種

3.民間の宇宙事業との違い

JAXAが目指す姿や考え方、活躍の場を知らないと『JAXAに必要とされる人材』なのかどうかわかりません。

JAXAを理解するために上記3つは正しく把握しましょう。

経営理念・目指す人物像

経営理念とは『社会での存在価値や使命』を表すものです。

また、そこで働く職員が経営理念の実現のためにどのような心構えであるべきか定義した行動宣言も存在します。

引用:JAXA HP

その上で、JAXA職員が目指すべき人物像は次のように表現されています。

専門知識を基盤に、宇宙航空を通じて社会に対して新たな価値を提案・創造する意欲と能力を備え、挑戦し続ける人材

就職活動までの人生の歩みで、自分がこの人物像に当てはまることを証明する経験をしておく必要がありそうですね。

どんな事業・職種がある?

事業はこれら6本の柱から構成されており、細かな内容はJAXA HPで紹介されています。

職種としては「技術職」「事務職」「教育職」が存在し、新入社員は「技術職」「事務職」を選択して応募することになります。採用人数は年度によって異なりますが30人前後で、8:2くらいの割合で技術職の方が多いです。

技術職は採用された後、「プロジェクトマネジメント志向」「専門技術志向」のキャリアパスに分かれます。はやぶさなどのプロジェクトに参加するのか、研究を追求していくのか、自身の目指す姿を決めて活躍の場を広げていくことになります。

民間企業の宇宙事業とどう違う?

JAXAは宇宙航空分野における日本唯一の研究開発機関です。そのため、宇宙に関する研究をしたければJAXAが最も適当な環境と言えるでしょう。

一方で、宇宙開発プロジェクトはJAXAと民間企業が連携して推進されます。そのため、民間企業からでも宇宙開発に携わることは可能です。

違いとしては、JAXAがプロジェクトの方針や仕様や策定する上流業務を担い、IHIや三菱重工、三菱電機、NECなど民間企業がロケットや電子機器の詳細設計など下流業務を担当するところです。

JAXAに採用されるポイント

本題の採用されるポイントは『採用される必然性』を作り出すことです。言い換えると次のように表現できます。

これまでの人生でJAXAとの距離をどれだけ縮めたか

これが実際に採用された職員に共通して言えることかなと感じています。

これまでの人生でJAXAと関わり成果を出してきた人は、『宇宙航空を通じて社会に対して新たな価値を提案・創造する意欲と能力を備え、挑戦し続ける人材』にピッタリだと思いませんか?

彼らが具体的にどのような環境でJAXAと関わりを持って成果を出してきたのか紹介します。

特別共同利用研究員制度や総合研究大学院大学の活用

最も多いと感じるのは『特別共同利用研究員制度総合研究大学院大学』を活用した人たちです。

これらを利用すると、JAXAの宇宙科学研究所で自身のテーマを持って宇宙に関する研究を実施することが可能です。JAXA職員と同じ環境で数年間活動して論文を出すなど活躍すれば、自然とその先にJAXAへの就職が見えてきます。

さらに、研究員はJAXAの一員として活動する機会が多々あります一般公開の説明員や、高校生向けの「きみっしょん」という宇宙ミッション体験学習プログラムのスタッフとして運営に携わる経験も可能です。

インターンシップに参加

『特別共同利用研究員制度や総合研究大学院大学』に比べて濃度は薄まりますが、JAXAもインターンシップを募集しているので参加し、実際に現場の世界を経験することが可能です。

そこで感じたことがJAXAの道に繋がっていても不思議はありませんが、採用の狭き門を狙うライバルは毎日JAXAで研究しているような人たちなので、その人たちを超える自身の凄みをアピールする必要がありそうです。

高校生でイベントに参加

先ほどは大学生として運営側に参加する宇宙ミッション体験プログラム『きみっしょん』を紹介しましたが、あなたがまだ高校生でしたら参加することをお勧めします。

20名程度の狭き門のため、課題を提出して選考を通過しなくてはなりません。参加できればJAXAとの距離が縮まるだけでなく、貴重な経験ができるのは間違いありません。

また、『缶サット甲子園』と呼ばれる自作した空き缶サイズの模擬人工衛星を打上げ、上空での放出・降下・着地の家庭を通じて、技術力・創造力を競う大会があります。

地方大会から始まり、全国大会、国際大会に繋がる大きなイベントですので、将来の惑星探査への第一歩と捉えてチャレンジしてみるのが良いかもしれません。

JAXAと繋がりがある大学・研究員の出身大学

出身大学の公式データは公表されておりませんが、研究員の出身大学には偏りがあるように感じます。

特別共同利用研究員制度を利用し、JAXAで研究可能な環境を提供できる大学を卒業した学生は多い印象です。

また、『どんなテーマでどれだけ社会に貢献したか』は研究室のレベルにも左右されます。日本トップクラスの教授が所属する研究室がある大学・学部を選択するのは重要だと感じます。

それでは、実際に宇宙工学が学べたり、特別共同利用研究員制度が利用できるJAXAと繋がっている大学を紹介します。

あくまでこれらは一例で他にもあるのでご自身の環境を踏まえて探してみると良いですね。

東京大学

航空宇宙工学科が存在します。宇宙に直結する授業を学ぶことも可能ですし、特別共同利用研究員制度を利用してJAXAで研究する学生もいます。

東京工業大学

宇宙関連のシステム開発、企画力、国際競争力を養うことを目的にする学科が存在し、こちらからも特別共同利用研究員制度を利用してJAXAで研究している学生はいました。

慶応大学

航空宇宙工学科はありませんが、宇宙技術開発の根幹を成す学科が存在しますし、慶應卒のJAXA職員も見かけました。ただ、特別共同利用研究員制度を利用する学生はあまり見かけませんでした。

東京理科大学

こちらも航空宇宙工学科はありませんが、特別共同利用研究員制度を利用する学生は多く見受けられました。一つの学部・学科に限らず、電気系や物理系からのパスが存在します。

事務系にもコツはある?

考え方は技術系と同じで『採用される必然性』を生み出すことだと思います。

研究とは異なりますが、ボランティアなどJAXAと関わることは探して行動すれば掴めるはずです。その時感じた思いはきっと自分の言葉で表現できるのではないでしょうか。

また、宇宙事業は研究者、エンジニアだけでは成立しません。プロジェクトを前進させる政府や関係諸国との折衝では、高い対人能力や専門性を有した事務系の力が不可欠です。

そのようなスキルや経験、熱い想いが重なれば必然性は自然と生まれてきて、採用に近づくかと思います。

まとめ:出身大学よりも成果

1 経営理念、目指す姿を認識する

2 JAXA主催のイベントに参加する

3 JAXAで研究可能な環境に身を置く

紹介した『採用される必然性』に向けて行動して経験を積んでいけば、自然とJAXAとの距離は近づいていくはずです。最後にもう一度ポイントを復習しましょう。

JAXAに入社したいと思ってから、就職活動まで時間はあまりないはずです。残された時間を有意義に使って、ぜひ夢を実現してください。

続いて、『こうして私はJAXAでの研究を実現!連携大学院制度の活用』でJAXAで研究するために利用した制度を説明します。

また、『JAXAに就職!採用された人の傾向は?元共同研究員が解説』も紹介していますので、よかったらご覧ください。